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二次創作 目次

これから徐々に増えていく予定ですが、SS(二次創作)等の目次を載せておきます。

順序は投稿順です。





Amagami SS

第1章 夜明け

第2章 わたしの家族

第3章 街並

第4章 兄妹

第5章 理解

第6章 理解

第7章 過去

第8章 あなたを見つめて

第1部 後書き



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テーマ : 二次創作
ジャンル : 小説・文学

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第1部 後書き




先ずはお読み頂いた方、有り難う御座います。
読み難い箇所などあるかも知れませんが、ご容赦頂ければと思います。


今回、後書きとして掲載するけれども、本ブログで自分の感情や言葉を残すのは少し抵抗があり、でも慣れれば何とかなるのかな。と思いつつ残しておきます。




自己紹介とか自己の考察とか

先ず自分、(初めまして、sanshaです。)という人間はゲームはほとんどやらず、基本的に物作りと、制作のアシスタント、やその制作者の相方(アーティスト名は控えます)をしつつ、とりあえず生活しています。
夜型で音楽大好きな人間ですね。

ゲームを知らない人間ではなく、(RPGとか、メタルギアとか大好きです。)
ギャルゲー(と括ります。実際恋愛シュミレーションやアドベンチャーとカテゴリはあるのでしょうが、僕が知らないので、言及出来ません。)を知らなかったのです。
そう思うと、やはり執筆中のアマガミや絢辻さんを描こうと思った事も、その経緯も、改めて考えると奇跡だなと、最近改めて考えさせられる。あれもこれも話してしまうと、つまらないので自分についてはここまで。



執筆までの経緯

アマガミを知ったのは二コ動のプレイ動画が初めて。
それからアマガミを購入し、自分でプレイし、きっとその物語だけでは消化しきれずアマガミSSをネットで探す様になった。


そこで出会ったサイトがこちら。



アマガミSSなどを捨てて置く場所(第4先輩)
正直、性描写もあり、初めは抵抗があった。先輩さんが書いてある言葉は偏屈かもしれないし、ちょっと毒を帯びた様な雰囲気もあり、人を選ぶかも知れない。
ただ、僕の中では、今までの匿名で責任が少ない「軽く言葉」よりも魅力があり、力に満ちていて(そりゃそうだ。名前出している時点でリスクもあるだろうし)、人間が人間らしく、汚く、弱く、ちっぽけで、滑稽だったり。でもそう言う人間が必死に幸せを求める姿勢って凄く胸が熱くなる。そういう印象。

アマガミが大好きで何より「スキBADの七咲」を愛していると思う。SSを書くときのストーリーテリングや、言葉の装飾が読んでいて楽しかったし、勉強にもなった。過去の記事を読み漁ったり、リンク先の方のも読み漁った。
現在もよく読んでいるサイトの1つ。

ただ僕でも余り読むには抵抗のあるSSがあった。絢辻スキBAD。
正直、今だから言えるけど、本当に読みたく無かった。でも同時に読ませる文章でもあって。葛藤していた。
僕の一方的な見解と考えだが、述べさせてもらうと、スキBADって僕の中では何がどうなろうとBADエンドに変わりはなくて、中多さん、森島先輩、絢辻さんは救えない結末でそれはそれで良いんだけども、何と言うか触れたくない様なエゴだったりする。
でも一個人のエゴなので。それは言うつもりも無いし嫌なら見なければ良いし。それでも結末まで見てしまった。ただ僕の中でイメージしていたスキBADが少し変わった。きっと絢辻さんのBADでも救えるんだな。と。
(BADはBADで定義は決して変わらない。自分の中で一定の理解が出来た様な。つくづく自分の小ささではあるけど、BAD=死を直ぐにイメージさせてしまう。安直だなと思う。)


そういった経緯や葛藤、自分の駄々等があり、僕はとことんスキbestテイストな恋愛小説風に執筆を始めた。
そんな感じです。
(その点では一番執筆動機になっています。方向性は違うだろうけど、好きな気持ちは一緒でしょうと勝手に思ってます。)
因に僕が好きなのは逢哀桜と絢辻さんスキBADです。本当に話がしっかりしていて、七咲を初め、各ヒロインに真摯に向き合ってるなと。そして自分に正直だなと。



ゆび先はもう一つの心臓(オイサン)
同じく現在もよく拝見させて貰ってるサイト。同様に絢辻さんSSや他のゲームのSSも掲載しております。
恐らく自分が今後近いテイストになるだろう。と思っていて。もっと言ってしまえば日常をSSに落とし込む行為は自分にとって難しい事だと思っていて。一つはメリハリがない事。物語には少なからず起承転結があり、日常には必ずしも終わりが無い事があるんじゃないかと思っていて。それをSSで見事に実現されている方だと思っている。

日常を描くのは、読み手にとっては退屈だったりしますからね。場面転換は余りないものの、少ない場面転換で爽やかな結末に持ってくる事は難しいんじゃないかと。思ってる訳です。
他には言葉の使い方を参考にさせて頂いている。(基本スマホで閲覧してるのですが、解らない漢字をコピペして、ググッたりしてますね。)文章を映像に起こしてみると淡々としているんだけれど、そこの部屋(もくしは外の風景等)がどのように存在して、または何故存在しているかをきちんと答えている様な。、、、、、難しい。

例を挙げると。絢辻さんが触れた物が動き出す。そんな文書だと思う。それを日常に描く事は難しい。とても。
シナリオ解読も面白いけど、僕はSSが読み応えあるなって。思っています。




正直お二方とも膨大な数のSSを掲載しているので、時間があれば全て見るのもありでしょうね。と考えてます。
改めてお二方に御礼を述べさせて下さい。有り難う御座います。



今後の動向

後、僕が気になるのはアマガミのアマガミSSが昨年くらいに終わりましたが、各々どのようにアマガミと向き合うか。もしくは終わらせるか。個人的見解だと、始まったものは終わらせることも筋ではあるけど、終わらせては行けない気もしている。ちゃんと向き合って答えを出せているのならともかく。向き合えても居ないのはどうかなと。自分はまだ後者なので、楽しんで、付き合え続ける事と考えている。

自分の中で解っている事は。スキBADの絢辻さんは描けないという事。誰が何を言おうと勝手ですが、一度BADやbestに導いたSSを書いた以上、その道の終わりまで導きたいという気持ちです。特に絢辻さんのスキBADに関しては、絢辻さんのあたしや、わたしの人格の死。というイメージが払拭出来ないんです。
好きなヒロインなら幸せになってほしいし。以外と情にもろいんです。僕。

とにかく皆様(アマガミストの方やSS書きの方含め)の動向が楽しみです。




絢辻さんSSでの反省など


先ず稚拙な文章になったかもしれない。読んで頂いている方にはは改めてお詫び致します。
良く、絢辻さんといえば「黒い手帳」、「仮面優等生」等、主要キーワードがあるけれど、僕が意識した点は「校舎でのダンスシーン」、「私、あたし、わたしが繋がる事」、「会話シーン」の3点。


校舎でのダンスシーン
恐らく、僕が好きになったシーン。bestのシーンなのに何故か物悲しさを感じたというのが大きな理由。なんでだろう。彼女が仮面を被っていたから?腹黒いから?違う様な気がする。クリスマスは皆平等にとも言っているし、橘君の前では仮面は被っていないし。何故そんなに背負ったんだろう。はたして背負ったのだろうか。彼女は社会に出たいとも言っていた。社会に出るなら学校で朝まで過ごすかな。とか。
皆さんの解釈もあるのでしょうけど、まだ僕自身、納得出来ていないし、その絢辻さんを描けていない。
ん。難しい。


私、あたし、わたしが繋がる事
これも結構、絢辻さんを知るには重要な事なのだろうけど、正直書いているうちは意識したものの、きっと余り重要な感じでもないのかも。と思った。
絢辻さんの様な頭の回転が速い人間、女性ならば、TPOに使い分けて使うだろうし、何より橘君に対しては、全てを見せるだろうし。この「橘君だけ」っていうのが大事な様に思える。だからあまり気にしない事にした。


会話シーン
アマガミSSとかで良く印象に残るシーン(水着とか、手帳を落とすシーンとか、へそにキスとか、膝裏とか)って見る人を引きつけるけど、各ヒロインの本質は無いと思う。今回執筆にあたっては出会いから好きまでの会話を徹底的に洗い出した。余計に七咲とか絢辻さんの象徴的なイベントで、騒いだり、身悶えしている人のコメントを見ると、幸せそうだけど、ヒロインが可哀想だななんて思ったりもします。
(個人の好みなので否定は絶対にしませんが。何となくそう思ったのでここに残しておきます。)


オリジナルキャラについて
正直難しいし良く解りません。SSを各方向性や自己満足にも寄るだろうし、未来を描くなら2人だけでの世界では済まない様な気もするから。世界も広がるし、ちょっと自分色が強くなりすぎる気もする。まだ高校生の絢辻さんを見ていたい気持ちもある。何より作品としての調和も考えたいし、魅力的なキャラクターを描きたいので、じっくり練って作り上げたいと考えてます。




今後の動向~SS編と自身の作品について~
僕はアマガミの絢辻さんも好きで、絢辻詞という女性も好きです。なのでコンテンツの終焉については特に思う事は無いです。なので変わらずマイペースに執筆するでしょう。(内心寂しいんですけどね。)


せめて作品中では絢辻さんは笑っていられる様に。今後はコメディタッチ調も書くだろうし、橘君(僕自身かどうかは定義しません)との喧嘩等も書くだろうし、「絢辻詞」の人生を描くだろうと考えています。
そこには僕が伝えたい気持ちや、主観も入るでしょうけど。伝えたい事が全くない訳ではないので。きっとペースは落ちても止める事は無いでしょう。


自身の作品については並行して執筆していきます。
こちらは本当に自分の言葉で、汚く、熱っぽく。とても暗かったり。人が死を意識する事だったり。または死なせたり。きっと自分が拵えたキャラクターが死ぬのは平気なんだろうけど。人から与えられたキャラクターは死なせたく無い、、、と思ったりもします。


両作品に言える事かも知れませんが、本当に伝えたい事はまだまだ形に出来ていなくて。言葉を書こうと思うと、言葉に縛られる感覚。本当はシンプルでありたいのに、本来はシンプルであるべき事なんですけど。沢山思う事があり、沢山伝えたい事もあるんですけど、まだまだ足りないなと。それは人間の3大欲求だったり、もっと着飾った、輝いた言葉だったり、絢辻さんへの愛情の言葉だったり、恋人への愛の言葉だったり。、、、、しかし難しいです。


本当はアマガミを通じて出会った。第4先輩さんやオイサンへの感謝だったり、これから出会うであろう人(読んでくれる方)への希望や期待だったり、絢辻さんという「人間」を受け入れたり、自分のエゴや負の部分を受け入れたり。

そういった「伝えきれない部分」を今後は言葉に、作品に残していければと考えている訳です。先ずは自分が本作品を書いた事にお疲れ様といってみようかな。



皆様それでは次の作品かもしくは別の機会にお会いしましょう。








テーマ : 二次創作
ジャンル : 小説・文学

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第8章 あなたを見つめて






わたしは出来る限り授業に集中する様努めた。予習をしていた事が功を奏し、少し考える余裕も出来た。そしてテラスでの出来事を振り返り...考えた。僅かばかりの知識をもとにわたしなりの答えや、可決策を考えた。
過去に読んだ小説に答えはあるだろうかとさえ考えた。やはり最初の思う通り、答えは1つしかなかった。意識の中で小説をぱたりと閉じた。その様な事を考えている内にチャイムが鳴り、時間が動き出した。


授業の合間の休憩時間にあなたと帰る約束を取り付けた。丘の上公園へ寄ろうとも話した。本来ならば、あなたの好きな場所でも良いのだろう。だけど、話したい事もあり、待ち行く人々を見て時間に追われるのは避けたかった。そして何より、わたしは静かな場所、静かな日常を好んだ。


「......」


「...?...絢辻さん?...どうしたの?」


わたしはあなたを覗き込む様に見つめた。照れた表情が反応として返ってきた。わたしはこの眼が好きだ。まるで犬が懇願する様な眼。あなたはわたしを無垢な眼で見てくれている。あなたの眼をわたしが気に入っている事は、きっとあなたは知らない。時間が経てば伝える事も出来るだろうけど、今は秘密にしておこう。


「...何でもないわ。橘君、じゃあ放課後ね。」


「わかったよ。」



何事もなく放課後を迎えた。


わたしはあなたの左隣に並び、丘の上公園に向かった。
今日は何時もより早く日が沈み、空を朱く染めていた。段々と冬の季節が近づいてきていた。吐く息も白く、濃くなり、街行く人達の足並みはまばらだったが、急ぐ様子に変わりはなかった。子供は大人に手を引かれ、大人は子供に手を引かれ、その場所に居た。
わたしは寒い季節は特別好きではないが、用事を早く済ませてしまうと自宅にいる時間が長くなる為、急ぐ事はしなかった。何よりもこの時間を大切に過ごしたかった。薄暗くなった空を見上げて、あなたもそう思ってくれる事を願った。



公園は閑散としており、風は強く、相変わらず人はいなかった。無理も無い。こんな寒い季節に外にいる人は子供か学生くらいじゃないだろうか。わたし達はもうじき来る大晦日、年越しを迎えるだけだった。急を要する事は何一つ無かった。
あなたを見つめた。少しだけ感傷に浸っている様子だった。
もうすこしだけあなたの様子を見た。1年を振り返っているのだろうか。相変わらず浸っていた。
わたしは自動販売機で缶コーヒーを2つ買い、あなたに渡し、それで自分達の手や頬を温めた。公園のベンチに座ろうとして、あなたはベンチの埃を払ってくれた。わたしは御礼を言い座った。太陽が空の舞台を降り、これから月が舞台に上がろうとしていた。冬の夜は月が長く空を独占出来た。星はいつだって素晴らしい名脇役であった。わたしの子供の頃に夢だって運んでくれた。子供の頃から解っていた。
もしかしたらわたしは変わっていないのかも知れない。


わたしとあなたはそんな空のやりとりを、知ってか知らずか見つめていた。



「はぁ......」

「どうしたの?絢辻さん。」


「1日って途方も無く長い時間よね。...」

「そうだね。...でも僕..楽しいよ。...それは自信を持って言えるかな。」

「そう。....かもね。..うん。わたしも楽しいわ。」

「ほ、本当!?」

「嘘。」

「........」

「普通同じ手に何度も引っかかるかなー?....冗談よ。本当にそう思ってるわ。ほらっ橘君。
ちょっと立って見て。」

「えっ....うん。」



そこには確かにあなたが居て、あなたの手があって、温もりがあった。その眼は真っ直ぐにわたしを見つめてくれていた。わたしの右手はあなたの左手を取って、あなたの右手はわたしの髪を愛でてくれた。風が心地よく吹き渡った。その風は公園を吹き抜け、街全体を吹き抜けた。
クリスマスパーティーで2人で踊ったダンス。わたしはあなたにステップを合わせ、あなたは一生懸命応える。
あの時と同じ、暗闇の中で踊った。違う事と言えば、校舎よりも広い街、校舎よりも狭い公園だけだった。そしてわたし達は恋人になった。


わたしは最高に気分が良かった。ローファーでタイルを叩く音が辺一面に響き渡った。その音も暗闇の公園に響き渡り、やがて溶けて沈黙が返ってきた。公園にはクリスマスの面影は無く、ただ静かに翌年を迎えようとしていた。それでも微かにクリスマスの残り香が漂っていた。
あなたがつまずかない様に、わたし達の道に躓きの石が無い様に、暗闇の中、互いに見失わない様に。離さない様に手を固く握り合った。






........
わたしはあなたの過去の出来事を問いたださなかった。わたしの身を護る為なのかも知れない。.....怯えかも知れない。過去に辛い出来事があっても、あなたならきっと乗り越えてくれると信じた。眼の前にはあなたが居る。ここが暗闇でも、火が灯る様に明るく、例え世界の果てだとしても、わたしは怖くはなかった。
今、わたしの居る世界は綺麗だった。風景の綺麗さではなく、心情風景が綺麗に描き出しているのかも知れなかった。それまでの世界は....怖くて想像したくもない。恋をして景色が目新しく見え、そして輝いている。今となっては理屈で物事を考えるのではなく、時には感情のまま、行動出来た。


ーーわたしを見つけて。ーー


以前のわたしはそう言って、部屋の姿見鏡を通して自分を見て、机に突っ伏して、誰もいない部屋でそう呟いていた。手帳を落とした事は今のわたしにとって、些細な出来事だったとあなたに言えるかも知れない。いえ。きっとそう言える。

わたし達は足を止め、手を握ったまま向かい合った。
吐く息が2つ混ざり合い、空へと消えて行く。恥ずかしかったせいか、お互いに眼を反らした。



「..橘君。....わたし。」


ーーありがとう。わたし幸せよ。ーー


わたしはそう言いたかった。心の底から。
でも、言わない事で少しだけあなたに意地悪してみたい気持ちもあったし、言った所で軽々しく聞こえそうな気もしていた。
伝えたい言葉は沢山ある。だけど。
本当に。本当に大事なときに言葉が出ない。理屈じゃない強い気持ちがあった。それでもわたしは言葉に出来なくて、とてももどかしさを感じた。


「何?..絢辻さん。」

「...ううん。..何でもないわ。」


わたしもあなたもいずれ社会に出る。そしてその社会に認められたら一番にこの言葉を伝えよう。
焦る必要は無い。あなたは一緒に居てくれる。その時まで一緒に過ごせるこの時間を、大切に過ごしていこう。
わたしを見つけてくれた。あなたの眼はそれを感じ取っていたかはわからないけど。わたしはそこに寄り添い、そこから一緒に歩き、またそこに還る事が出来る。手をつないで、笑って、喧嘩して、怒って、泣いて。




それでもこの場所に。




何時も同じ場所に、あなたが居るから。








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第7章 過去



翌日、わたしは何時もの様に通学し、何時もの様に挨拶をし、授業の準備に備えた。創設祭の一連の出来事以降、わたしはクラスメイトと少し距離があった。物の見方を変えれば、自分の勉強に集中出来き、多少は負担が無くなり、わたしにとっては好都合だった。自分の勉強に集中出来るからだ。勉強繋がりで言えば休みの期間、何処で勉強をしようかと考えていた。


今までのわたしなら迷わずに図書館を選ぶのだけど、あなたに勉強を教えるのも悪くないのかも知れない。勉強だけではあなたは身が持たないだろう。その時は外に出て過ごせば良いし、わたしだってあなたと行きたい場所、見たい景色もある。これは冷静に考えるとデートなのだろう。わたしは妄想にふけて、単に惚気てもいた。そのような事を授業の合間に考えていた。
わたしの人生にこんな事が今まであっただろうか?とさえ考えた。

昨日の出来事を振り返り、我に返った。わたしは美也ちゃんに聞きたかった事があった。話自体もしかしたら10分程度で終わるかも知れないし、場合によっては20分以上かかるかも知れない。なんせあなたの妹さんだし、的を得ない答えが返ってくるかも知れない。そう考えてわたしは昼休みに美也ちゃんと会う事に決めた。


それまでの時間はあなたに昼休みの予定を聞き、わたしは適当に口実を告げ、予定に移す事にした。




‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「美也ちゃん。こんにちは。...食事中ごめんね。落ち着いたらで良いんだけど、この後時間もらえないかしら?」

「あっ!絢辻先輩こんにちは!...この後ですか。...大丈夫ですよ!」

そうやって簡単なやり取りを行い、テラスで待ち合わせる事にした。美也ちゃんは相変わらずにしししっと笑っていた。最初は妙な笑い声に感じたが、今では違和感を感じなかった。それどころかその笑い声は美也ちゃん特有の声だと認識した。
その後、昨日のケーキの御礼、あの時、美也ちゃんの過剰な反応を示した真意を聞いた。事の発端はこうだった。

ーー2年前のクリスマスに初恋の相手をデートに誘ったが、その場所に相手が来なかった事。その数日間、あなたは押し入れに閉じこもり、3学期の期間を苦痛を味わいながら卒業を迎えた事。相手が来なかった事の真実が解らなかった事。ーー

やがて進学し、恋に奥手ではあったが、わたしとあなたが巡り会えて美也ちゃんは感謝している様子だった。わたしだって出会えた事に感謝している。
最初はあなたの性格は純粋すぎて、優しくて、危ういとさえ思っていた。わたしとあなたの価値観が違いすぎて、偽善者気取りとさえ感じた。わたしは沢山の結果を出してきた。それでも報われなかった事、わたしを見ていて欲しい人が家族じゃなかった事、誰も見ていなかった事、それが何よりも悲しかった。だけど。


あなたはわたしを見つけてくれた。自分勝手かも知れないが、あなたの事を知りたかった。過去も未来も受け入れたかった。ただそこにはわたしのエゴも少しだけ覗かせた。わたしは過去も家族についても避けてきた。ここでわたしが問いつめてもそれはフェアじゃなかった。あなたに対しては公平さを求めた。無意識に自分に返ってくるものと考えていたからだろう。しかし別の角度から考えれば、あなたはその過去の出来事を克服しているのかも知れないとも思った。わたしを好きでいてくれた事で成長したのかも知れない。わたしはどうすれば良いか考えていた。答えは知っていたが、美也ちゃんの前で感づかれるのを避ける為に一言御礼を言って、手に持っていたお菓子を渡した。美也ちゃんは最初は遠慮したものの、上手く言いくるめて、美也ちゃんは礼を言いお菓子を受け取って校舎に戻って行った。




わたしは暫く立ち尽くしていた。やはりたいした事ではないだろうと思っていたが、たいした事ではないと結論づけてしまうほど、わたしはあなたを知らない。チャイムが鳴っていたと思うがそれはさほど重要な事ではなかった。まだクリスマスツリーの撤去作業が残っており、木陰がやけに大きく感じた。



わたしの陰はあまりにも小さく、無情にもわたし自身を見つめていた。








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第6章 晩餐




その後は短い時間を惜しむかの様に寄り添い、確かめ合った。そのままで2人で映画を鑑賞した。わたしもあなたも以前見ていた作品だった。特別感慨深い事は無かったが、自分以外と観る事で学校では言えない様な不思議な事を共有するような気がした。
また勉強の進み具合を話したり、勉強を教えたり、あなたの苦手な科目を見たり、とにかく沢山話して過ごした。

「橘君は何でそんなに出来ないのかなー?」

「....そんなっ!? ....絢辻さん酷い....」

「あははっ!....あなたが努力を怠ったのが原因ね。....しっかりしてよね。解らなくなったらわたしも手伝ってあげるから。....時間があったらだけどね。」

「ありがとう。絢辻さん。....そんな....数学だけは自信があったのに。....」

そのようなやり取りをして、何時しか夜を迎えていた。

予定ではわたしは帰るはずだった。だけど、あなたや美也ちゃんの説得もあり、晩御飯だけ頂く事になった。あなたの家族との団欒。出来れば避けて家路に着きたかった。わたしは家族の温もりを感情の奥底にしまい込んだから。思い出す事が怖かったのかも知れない。触れられるのも。きっと帰ったら少しだけ家族に期待してしまうのではないかと思った。環境が少しだけ変わって、期待をする事により絶望を味わいたくなかった。期待するのはあなただけで良いとさえ思っていた。出来れば触れて欲しくなかった。そんなわたしの囁かな願いも美也ちゃんの前には届かなかった。まぁ事情も知らないだろうし、美也ちゃんも喜んでくれるなら良いだろうと思い諦めた。


わたしは美也ちゃんの様子を窺った。俄然笑顔を振りまいていた。妙だなと思った。
今日お邪魔した時はうっすらと涙を浮かべていた。多少なり違和感を覚えていた。その真意を知りたかったのだ。普通なら兄の好きな人が来るくらい、たいした事でもないのに。涙を流す程の事ではないと思う。だけど今聞き出すのは得策ではないかも知れない。もしかしたら気を悪くするかも知れない。後日改めよう。


あなたの両親はわたしが想像していた通り、きっとそれ以上に優しく、暖かい人達だった。わたしが家族に固執しているのが惨めで、ちっぽけな位に笑顔で受け止めてくれた。その笑顔はわたしが十数年間見てきた、荒んだ世界を少し洗い流してくれた。ご飯は普通のご飯だと思うが、ただただ美味しく味わえた。ちょっとばかり食べ過ぎたのかも知れない。でもその時はそんな事も気にならなかった。学校の話、あなたの話、友人、クラスメイトの話等、些細な談笑も出来て、わたしを家族の様に接してくれて、受け入れてくれた。皆が皆笑顔で、時にはあなたは照れてもいた。わたしの家族に連絡をした方が、と言ってくれたが、何とか言い訳して難を逃れた。それは表面上だけかも知れない。でも出来るだけ考えない様に過ごした。一度考えたら出口の無い底に突き落とされそうで、傷つき事、悲しむ事、それが怖かった。


夜も深くなってきた。両親はあなたに送ってあげる様に伝えて、わたしは御両親に御礼を言って、厚意を受け入れた。その帰り道。母娘の猫が川辺を歩いていた。その場に留まり道端から河を眺めていた。母猫は毛繕いをしていた。子猫はただそれを見ていた。共に毛並みは綺麗で、黒と白でくっきりと別れていた。飼い猫かどうかは解らなかったが、首輪がないのできっと野良なのだろう。寒い季節なのに寒いという意識すら母娘の猫からは感じなかったしそれを表に出す事も無かった。寄り添って、眺めて。....きっと見えない愛情。信頼。恐らくはそうだろう。その先に見える景色は終わりの景色なのか、始まりの景色なのか、わたしには皆目見当がつかなかった。ただその佇まいからは気高さを感じた。わたしとあなたは少しずつ少しずつ、噛み締める様に、今日の別れを惜しむ様に歩を進める。日付が変わればまた会えるのに。そう思ったが今日という日の終わりは刻一刻と迫っていた。


ーー春の季節だったら桜が咲き乱れ祝福が訪れるのだろうか。ーー
ーー夏の季節だったら蛍の光が幻想的に夏の夜を奏でるだろうか。ーー
ーー秋の季節だったら広葉樹が葉を落とし月夜の晩、路面一杯に広がるのだろうか。ーー
ーー冬の季節だったらわたし達もあなた達も寄り添う様に暖を取るのだろうか。ーー


今日は月がやけに近く感じた。わたし達を見守っている様な、それとも見定めている様な、月もわたしも真偽の程は定かではないだろう。わたしも、きっとあなたも、限られた状況で、その時の最善の策を尽くしてきたつもりだ。限られた数の選択肢があって、行動によっては必ずしも望まれる事だけではなかった事もある。わたしは何時だって手札のカードは決して多くはなかった。あなたの言葉でわたしは現実に引き戻された。


「絢辻さん。..明日から学校だね。早く冬休みにならないかな。」

「そうねぇ。..休みになれば橘君に色々連れて行ってもらえるし...ね?」

「ははっ..そうだね。....任せてよ!」

「期待してるわよ。..でも本当...すごく妹さんと仲が良いのね。....ちょっと妬いちゃうかも。」

「絢辻さん何か言った?」

「ふふっ。別に。何でもないわよ。........でも不思議よね。あんなに優しそうな御両親から、こーんなどうしようもない変態が生まれてくるなんてね。」

「なっ!...絢辻さん。それはないよ....」

「あははっ。だって本当の事じゃない。....送ってくれてありがとう。」

今日は何時もの河原ではなく、自宅の近くまで送ってもらった。わたしは遠慮したのだけど、夜道は危険だからとあなたが気遣ってくれて、その言葉にわたしは甘えた。形式上の挨拶をして、想定外のキスをした。路上でいちゃつく人が多いけど、今のわたしには何となくだけど理解出来た。

そして音を立てない様に自宅へ上がり込み、自室へ戻った。日頃わたしが好んで聴いているクラシックを少音量でかけた。森林の中の湖に佇むわたし、その湖の中でわたしの感覚や、細胞が水に溶けて分解される。皮膚や毛髪の1つ1つが自然に還る。やがてわたしは樹木となりその地に根を張る。
今日はゆっくり出来たのか出来なかったのかは解らないが、とても心地よかった。早速明日の予習をして、今日は何時もより早く床につこう。


今日の続きを夢で見たいと願った。いつの日か言った様に。
わたしは我侭で寂しがり屋なお嬢様。あなたはいつもよりほんの少しだけしっかりした執事。
そんな夢。
あなたと夢で遭えたら。
わたしはもっと素直に笑えるかも知れない。そう思い、願った。

テーマ : 二次創作
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