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「........」




お前は何時も決まった時間に、決まった服装で、決まった酒を呑んでいた。
後に自分でコーヒーを淹れるが、僕は決して味わえた事が無い。
お前は豆の挽き方をも間違っていたのかも知れない。お互いに良い歳になり、
疎遠にもなりつつあった。
一緒に禁煙を努めたがどちらかが折れ、些細な約束は実る事さえ無かった。


ある日、お前は旅に出ると言った。
僕は好きにすれば良いと言って止める事は無かった。
描いた道が違うのならば、進む道も自然と変わる。
友情が音を立てて崩れる事は微塵も無いだろうと考えていた。
それは決して間違いは無かった。




だけど、その言葉をお前に伝える事は、もう出来なかった。







僕は昔歩いた道を、ただひたすらに下を向きながら歩いた。
着ていたコートの襟を立てた。
時間が夕方、行き着いた先は暗闇だった。
何処から歩いたかも覚えておらず、特に何も考えず、
安物のコーヒーを飲み、マールボロに火をつけた。
紙袋が路面とトラックと戯れていて、
それはどうもボクシング観戦中のチャンピオンと4回線選手くらい、
勝ち目が無い戦いだった。
チャンピオンはプライドがあり、意地もある。しかし4回戦選手も希望があった。
何時、何処の国でも満面の空に希望が満ちていた。
同じくらい非情のかけらも散りばめられていた。
若い人間程、早く散るのかも知れなかった。それは年齢と経験で多少は補えるだろう。
そして汚れていっただろう。


その様子を見て4回戦選手に万一の可能性が無いと解り、歩を進めた。
若かりし希望の芽は摘まれた。同時に若かりし日を振り返った。
進んできた道は平坦では無かった。賛同する人間はこれまでほとんど居なかった。
それでも僕はひたすら前へ、前へ進んだ。
涙と熱情はとうの昔に朽ち果てた。
行き着く先は解っていた。その先の行動も考えていた。

女性に対する口説き文句は決して多くなく、いつだって手持ちのカードは無かった。
そのカードをお前は譲ったりもしてくれた。



僕はその様子を浮かべて、少しだけ微笑んだ。






空が暗くなり、お前との記憶は歩いてきた道へ置いてきた。だいぶ身軽になった。
それほど長い時間を、考え、創造し、共有してきた。お互い嘘をつくし、決して良い事ばかりではない。
それでも親友だ。僕はそう思っている。


僕は目的地の埠頭に着いた。少し前から雪が降っていたようだった。
僕は全くと言っていいほど気付かなかった。実際に見えてもいなかっただろう。涙で見えなかった訳では無い。
本当に悲しいときほど涙は出なく、穏やかな表情になるものだ。




この台詞もお前が言っていた言葉だった。それも今なら解る。





わずかの間、さよならを言おう。
僕は煙草を吸いきり
眠りについた。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿。
上の文章は10年来の親友を思い書き纏めた。


著作権に関しては、申し訳ありませんが私の文面なので私に帰属する。
だれも見てないだろうが念の為記述する事とする。


それではまたの機会に。


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Tag:小説、短編  Trackback:0 comment:0 

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