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第2章 わたしの家族



昨夜の暗闇の街並から朝日を覗かせる風景は、特別わたしを気持ちを奮わせた。
冬の空はどこまでも衝き抜けて、そして澄んでいる。良く景色を色に例える事があるけど、きっと絶対的な色を応える事は...きっとわたしには出来ない事で、あなたに求める事もしないだろう。

ふふっ。何時も見ている景色なのに。とわたしは小さく微笑んだ。
朝、いつもの通学路が帰り道になると、こうも景色が違うとは思わなかった。

わたしの心境の変化もあるのだろう。冬を迎えているにも拘らず、生命の息吹を感じ、生活の営みを感じ、こうして1日が始まる。慌ただしい人もいれば、計画的に行動に移す人もいる。もしかしたら朝を待つ人もいれば、ただ早く、夜が過ぎ去るのを待つ人もいるのかも知れない。
わたしはこの街で恋をした。もしかしたらわたしの両親もこの街で恋をして、、、結婚をして。
そしてわたしと姉が生まれた。祝福されたのかそれともー。それは実際の所はわからない事だけど。


あなたはどうだったのだろう?
きっと優しい雰囲気や普段の振る舞いからすると......ありきたりな言葉になるけど、幸せな家族なんだと思う。


あなたは家に戻ったらなんて言い訳をするのだろう。きっと言い訳自体必要ないのかも知れない。妹さんが昨日創設祭に居たし、事情も多少なり解ってくれるのかも。推測ではあるけれど、男子だし詮索される様な事はないだろう。
一方的な想像だけど。きっと寛大な御家族なのだろう。いや、そうであって欲しいと願う。
少し考えた後、わたしは彼の家族像を想像し、憧れもした。


この40日と数日間でわたしは恋をするなど考えられなかった。目標の為、努力を積み重ね、時に陰口や亀裂が生じても物事を円滑に進める為にわたしの考えが折れる事も侭あった。わたしの意見も......状況によっては必要だったかも知れない。でも社会に認められる為、苦渋の決断もしたし、家族以外の他人からの信頼を得ようと努めた。暗闇の中、社会という漠然とした何かが、きっとわたしに光を当ててくれると信じていた。


ある日わたしは重大なミスを犯した。手帳を落としたのだ。


今思えば本当に些細な事で、可笑しくて仕方が無いけど、その時は本当に必死だった。なんせわたしの仮面の内側の部分。不意をつかれた気分だった。
普段の経験で余り味わえない様な事。今までのわたしが決して口にしない事。そのようなものだったと思う。


わたしは状況判断しあなたを丸め込む事を考え、実行した。あなたと話すにつれ、その裏表の無い、言うなれば自己犠牲な考えに苛立ちさえ覚えたが、わたしは一定の理解をした。恋は言葉で説明するのは難しい。はっきりと言える事は本心をさらけ出せても変わらないあなたに恋をしたんだと考えている。
ーー恋は思案の外。ーー
つくづく昔の人達の言葉は私たちの状況に応じた的確な言葉を与えてくれる。....とにかく...
氷で覆われた壁が少しずつ音を立てて溶け始めている様。


「.......」

それから特に会話もなく一緒に通学路を帰っていた。




少しばかり歩いて、いつも通りの場所まであなたは送ってくれた。

「ありがとう橘君。...じゃあ後で会いましょう。帰り道気をつけてね。」

「絢辻さんこそ気をつけてね。それじゃあね。」


わたし達は一言二言交わし、学校のバックを持ち替えそこで別れた。わたしは無機質な自宅にあがり、両親に昨夜の事情を説明し謝った。なんて事無い、至って機械的なやり取りだった。出来るだけ平静を装い、部屋へ進んだ。昨夜は帰らなかったのに、不思議と疲労感は無かった。両親と姉との和解や、わたしが家族に歩み寄る事はあるのだろうか?
例えば予習もなしに子供が物理学を教わるくらいの確率だろうか?
または初めての海外に1人で行って、英語も侭ならないまま目的地に行く様なものだろうか?
きっとわたしと家族が歩み寄る事は無いだろう。解らないなら解らないなりにこれから考えれば良いと思った。



そんな事を考えているうちにわたしは深い溜息をついて、少し休む事にした。


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