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第4章 兄妹

あなたの自宅に着いてわたしは少しばかり緊張していた。以前自宅に行ったときはまだ付き合うとかそういう以前だったし、.....今は少しだけ付き合う事を意識したのかも知れない。でもここに居ても始まらないのでインターホンを押す事にした。

ピンポーン

「はーい!....絢辻さん!!来てくれてありがとう!」


急に出てきてびっくりした。以前3秒で出てきなさいって伝えたからだろうか?もしそうだとしたら、あなたは従順な人なんだなと可笑しくて笑ってしまった。やっぱりあなたは犬っぽいんだろうなと思った。


「あははっ!...ごめんね。急に笑ってしまって。...でもありがとう。約束守ってくれたのね?」

「うん。...そうだね。前に怒られちゃったし。」

「ううん。いいのよ。....はいこれ。ケーキ買ってきたからあげるわ。妹さんにもあげてね。」

「えぇ?!いいの??......じゃあ有り難く頂くよ!お金は大丈夫なの?絢辻さんも食べるよね?」

「そうねぇ....1つだけ頂こうかしら。....あぁお代は大丈夫よ。橘君から徴収するからね。」

「ははっ......とりあえず上がってよ。」

「冗談よ。....あなたの反応が見てみたかっただけだから。..お邪魔します。」


そうやり取りして上がる事にした。余り寝れてないせいか、あなたは少しばかり目の下にくまが出来ていた。内心少し心配だったが、状況は一緒だったし、仕方が無い事と割り切った。もし眠ったとしても差して問題は無かったからだ。日が沈むなら沈んだでその景色を見れば良いとさえ思った。そういえばわたしは誰かとそういう景色を共有した事は無かった。

やっぱりあなたと話しているとわたしはわたしらしく振る舞えて、それが嬉しく思えた。わたしはそれを正直には言わないで心の内に留めてこうと思った。それを言ってしまうと、わたしとあなたの上下関係が少し揺らいでしまうと考えたから、、それは冗談で。きっと言わなくても解ってくれる。短い期間だけどそこまでの事は築き上げたとも思っているからだ。


ところで、今日はご両親は居ないのかと訪ねた所、妹さんだけがいるみたいだった。御両親はどうしているのだろう?と不思議に思ったが、よく考えれば年頃の男子だし、一緒に買い物などは行かないだろうと、考えれば解る事だった。そんな事を考えて玄関を見回したら、妹さんが階段から降りてきた。

「あっ!絢辻先輩こんにちは!」

「こんにちは美也ちゃん。..お邪魔するわね。」

「いえいえ!どうぞ。...えっと....色々有り難う御座います!お兄ちゃんを宜しくお願いします!」

「??...こちらこそ宜しくね!」

「お兄ちゃんも絢辻先輩に変な事しないでねっ!!」

「わかってるよ!...全く美也は。...」

美也ちゃんはにししと笑って振り返り部屋へ戻るようだった。一風変わった笑い声が響いた。
わたしが予想した様にあなたの兄妹は仲が良かった。可愛くて元気で、礼儀正しくて、だけどちょっとばかり抜けていて。やっぱり可愛らしい。笑顔が曇る様子も無く...育つ環境でここまで変わるものなのだと感心した。本来のわたしをまだ見せていない分どういった反応を示すのか多少は気になっていたし、多少なりの興味も美也ちゃんの反応もあったのかも知れない。

距離を置かれるか、それともー。....現時点では推測すら及ばないだろう。
でも....妹さんにここまで感謝されるとは思わなかった。妹さんの様子を見ると少しばかり眼に涙を浮かべていた。その過剰な感謝や態度に何かしらの違和感を感じた。僅かではあったが沈黙があり、その先には今のわたしには言えない事情を沈黙によって表されていると感じた。きっと怒りやそういった負の感情ではなく喜んではいた。でも涙を浮かべていた直接的な原因は解らなかった。きっと悪い事ではないだろうと思った。嫌われてはいない事を再認識し、ほっと胸を撫で下ろした。今わたしに出来る事は、幾つかの歯車を正確に組み替える事。即ち物事を整理し、ベストな方法で解決する事。


そしてわたしは少し会話をしてあなたの部屋にお邪魔する事にした。人類が初めて[地球は青かった]と宇宙に出て帰還後に伝える様な、わたしにとっては男子部屋にお邪魔する事は初めてで、ある種の衝撃でもあった。遠い昔の記憶ではこのような事もあったのかも知れない。だけどわたし自身、昔の記憶は超合金の金庫に押し込んで、尚且つ鎖と錠で鍵を掛けていた。それをあなたは少しずつ外していった.....きっとそうだ。


それ以上に子供の記憶が今となっては何も役に立たない事も知っている。わたしやあなたも大人になっているからだ。わたしも大人の階段を上っていて、子供はこうやって大人になるのだろうと考えた。その反面バカバカしいとも考えていた。今日わたしはわたしなりに家にお邪魔することで覚悟もあった。まさかとは思うけど.....そのまさかだ。




...
そのような事を考えていると、あなたは紅茶を淹れて、ケーキを持ってきてくれた。


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